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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

大きな仕事をやり切り燃え尽き症候群になってしまった/205

トム・ルッツ(1953年〜)。アメリカの作家、文芸評論家。アカデミズムと一般メディアの間で独自の思索を展開する。著書に『働かない』などがある。(イラスト:いご昭二)
トム・ルッツ(1953年〜)。アメリカの作家、文芸評論家。アカデミズムと一般メディアの間で独自の思索を展開する。著書に『働かない』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 仕事で大きな目的を果たし、今燃え尽き症候群に苛まれています 仕事で大きな目的を果たしたので、今燃え尽き症候群に苛(さいな)まれています。また次の新たな目的を設定してもいいのですが、その気が起きません。どうすればいいでしょうか?(IT企業・40代女性)

A あえて無目的を意識することで、自由にゆっくりと可能性の海を泳ごう

 燃え尽き症候群、いわゆるバーンアウトは私も何度か経験しています。力を入れれば入れるほど、達成後の虚無感は大きくなるものです。もちろん、また新たな目的を設定することができればいいのですが、それがなかなか難しいわけです。そこで参考にしたいのは、アメリカで独自の思索を展開するトム・ルッツの思想です。

 ルッツは、「無目的性」の勧めを説いています。むしろ目的など設定しない方がいいという逆説です。なぜなら、その方が自由になれるからです。普段私たちは目的を設定することがいいと思い込んでいますが、決してそうではないのです。ルッツにいわせると、目的がないということは、欠如だけでなく、たとえば「開かれている」とか「急いでいない」ということも意味します。だから欠如よりも豊かだというのです。

 さらにルッツは、無目的性とは「多数の小さな自発的出撃を、未知へと」送り込もうとすることだともいっています。だから、決して何もしないわけではないのです。むしろ、たくさんの可能性があるということにほかなりません。

真ののらくら者を目指す

 もっとも、そんな無目的性にも2種類あるといいます。一つは「貧しい人間」の無目的性です。それはただ怠惰なだけであるとか、反対にがむしゃらに働いているだけの状態を指すよう…

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