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ドアダッシュ 料理宅配サービス米最大手 清水憲人

米ニューヨーク市にあるドアダッシュの看板(Bloomberg)
米ニューヨーク市にあるドアダッシュの看板(Bloomberg)

DoorDash 黒字化しないまま売上高は前期比3割増の1.3兆円/111

 ドアダッシュは料理宅配サービスの米最大手だ。スマートフォンのアプリやウェブサイトで飲食店のメニューから料理を選ぶと、届けてくれるというサービスだ。

 創業のきっかけは米スタンフォード大学の大学院生と大学生4人が2012年、大学がある米西部カリフォルニア州パロアルトの焼き菓子店から依頼を受け、注文を受け付けるソフトウエアを開発したことだった。店主は配達を希望する客が多く、人手が足りないと嘆いていた。他の小規模事業者からも同じ悩みを聞いた4人は翌年、飲食店の料理をキャンパス内の学生寮などに配達する会社「パロアルト・デリバリー」を設立した。

欧州のウォルトを買収

 創業者4人の1人で現最高経営責任者(CEO)のトニー・シュー氏が米公共ラジオ放送(NPR)に語った内容によると、配達できる料理の一覧と注文を受け付ける電話番号を載せただけのウェブサイトを開設し、4人で手分けして電話に応答して自家用車で料理を配達した。当初は講義の合間に営業するだけで、1日当たりの客は5~10人にすぎなかったという。13年6月に現社名に変更した。

 シュー氏は同年、スタートアップ支援の米Yコンビネーターのイベントで「米国人の70%はレストランが配達しない地域に住んでいる」と訴え、同社の存在意義をアピールした。パロアルトではピザレストランを除くと配達する飲食店は皆無だったという。同社は同10月、投資家から計240万ドル(現行レートで約3.6億円)を確保し、携帯電話用アプリを開発したほか、営業地域をパロアルトから人口90万人台の大都市、サンノゼに広げた。

 同じ頃、先行する米グラブハブなどは携帯電話のアプリで料理の注文を受け付け、飲食店が配達する仕組みだったが、ドアダッシュは同社が「ダッシャー」と呼ぶ自前の配達員が手がける点が違った。米配車サービス最大手のウーバー・テクノロジーズが料理宅配サービス「ウーバーイーツ」を始めたのは14年だ。

 ドアダッシュは15年までにサンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストン、カナダ・トロントに営業地域を拡大した。18年にソフトバンクグループの投資ファンド、ビジョンファンドなどから5億3500万ドル(約808億円)調達し、20年に米ナスダック証券取引所に上場を果たした。22年にはフィンランドに本社があり、欧州市場に強い同業大手、ウォルトを買収し、昨年末には営業地域を30カ国以上に広げている。

コンビニ、生花店商品も

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