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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

役所でもないのに縦割り組織で困ります/207

荘子(紀元前369年ごろ~同286年ごろ)。戦国時代の道家の思想家。寓話を効果的に用い、この世の物事は一つであることを説いた。著書に『荘子(そうじ)』がある。(イラスト:いご昭二)
荘子(紀元前369年ごろ~同286年ごろ)。戦国時代の道家の思想家。寓話を効果的に用い、この世の物事は一つであることを説いた。著書に『荘子(そうじ)』がある。(イラスト:いご昭二)

Q 役所でもないのに縦割り組織で、どっちの部署の仕事かでもめます 職場でよくどっちの部署が担当する仕事かということでもめることがあります。役所ではないですが、まさに縦割りの弊害です。どうすれば、こういうつまらない争いをなくせるでしょうか?(製造業・50代女性)

A 区別という不合理さを捨て、すべてのものは一つであり等しいと知ろう

 新しく出てきた仕事をどの部署に割り振るか、これは組織が大きくなればなるほど問題になります。なぜなら、仕事の細分化が図られるからです。そもそも組織とはそのために形成されるのですから、ある意味でこの問題は組織にとっての宿命ともいえるでしょう。

 そこで参考にしたいのは、中国の思想家荘子の考え方です。老荘思想と称されるように、道家の始祖・老子の道(タオ)の思想を発展させた荘子は、この世界をつかさどる唯一の原理である「道」という概念から、さらにすべてのものは一つであり等しいとする万物斉同という考え方に至ります。

自在に対応する無方の心

 すべてのものは等しいので、何も区別がないということです。にもかかわらず、区別しようとするから問題が生じるというのです。荘子の思想は、寓話(ぐうわ)を使って説かれている点に特徴があります。有名な「胡蝶(こちょう)の夢」や「朝三暮四」など、いずれも物事を区別することの不合理さを考えさせるものです。蝶の夢を見ているのか、私たちがもともと蝶なのかはわかりません。あるいは、木の実を朝四つで夕方三つもらうのも、朝三つで夕方四つもらうのも同じ七つの木の実なのです。そんな区別という不合理さにこだわるからもめるわけです。

 問題はどうすれば、そのような区…

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