大阪の中小企業が万博出展で目指す“世界のお困りごと解決”工場/3 木下功
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参加を目指す中小企業・スタートアップや支援団体の期待は大きい。その具体的な取り組みを紹介する。
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「身近な課題や世界のお困りごとを大阪の町工場が解決します」「輝く未来社会の創り手ここにあり」──。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に出展する中小企業・スタートアップが取り組むテーマの一部だ。海外パビリオンの工期の遅れや会場建設費・運営費の上振れ、防災対策の課題などさまざまな問題点が指摘される大阪・関西万博だが、参加を目指す中小企業や支援団体からの期待は大きい。
万博で一つに
2月上旬、2025年大阪・関西万博の会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)を訪れた。高く足場が組まれて工事が進んでいたのは、大阪府と大阪市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」で、4月2日時点で約7割が完成している。
メイン展示は、来場者の健康情報から生成される「ミライの自分」を体験できる「REBORN体験ルート」だが、一部を「展示・出展ゾーン」として、中小企業・スタートアップの製品や技術を国内外に発信する。
企画・運営は大阪商工会議所と大阪産業局でつくる「中小・スタートアップ出展企画推進委員会」。同委員会は昨年10月、両団体を含む公的機関や金融機関、大学など14の実施主体が企画する26の事業企画「リボーンチャレンジ」を万博の出展事業に認定。各実施主体が中小企業・スタートアップを募集していた。
大阪市内のイベント施設「マイドームおおさか」で3月25日、リボーンチャレンジに参加する中小企業・スタートアップに関する記者会見があり、冒頭に一部を記した26の事業企画の概要、377社の参加企業が発表された。
当日の司会も務めた大阪商工会議所の玉川弘子・万博協力推進室長は中小企業が協力して万博に出展する意義について「万博があったから一つになれたという経験。自社だけではできない新しいものが生まれるきっかけになるのでは」と期待を寄せる。
VRオープンファクトリー
「万博に集まる世界の人に日本のものづくりを分かってほしい」と、仲間とともにリボーンチャレンジに挑むのは、VR(仮想現実)制作を得意とするMP‐Strategy(エムピーストラテジー)の目黒充明代表。チーム名は「OSAKA町工場EXPO」で、東大阪市内の中小企業を中心に25社が参加している。世界基準の熱処理技術や金属切削加工の工場のVR体験、SDGs(持続可能な開発目標)に即した新商品のVR展示など「VRによるオープンファクトリー」に挑戦する。
同チームは20年から、万博の公式プログラムに参加している。2025年日本国際博覧会協会(万博協会)が「誰もが参加できる、新しい万博のカタチ」として用意した「TEAM EXPO 2025」プログラムの「共創チャレンジ」だ。メンバーが2人以上いれば、企業単位でも学校、…
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