崩落した米国国歌ゆかりの橋の再建を巡っても起きる党派対立 吉村亮太
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米東部メリーランド州のボルティモア港にかかる全長2.6キロの「フランシス・スコット・キー橋」の橋脚にコンテナ船が衝突し、崩落した3月末の事故の記憶はまだ鮮明だ。船からの緊急通報を受け、間一髪のところで車両の通行を止められたのはせめてもの救いだったが、残念なことに橋の上で補修工事を行っていた作業員6人が命を落とした。
数カ月間とはいえ、乗用車や農業機械の取り扱いが多いことで知られるこの国有数の港への船舶の出入りが止まることと、数年間の単位で東海岸を南北に走る大動脈の一部が途絶することの影響は甚大だ。停電により船が制御不能に陥ったことが事故の直接の原因とされる。橋脚を防護するための構造物が十分に設置されていたら、ここまで被害は大きくならなかったのだろうか。詳細については事故分析を待つしかない。
ボルティモアは首都ワシントンDCの北東方向に位置し、車で1時間程度のメリーランド州最大の都市だ。「首都に隣接する地方公共団体」という特徴を共有することから同州と神奈川県は友好提携を結んでいるわけだが、それ以前から「港湾都市」「工業都市」という共通項を持つ同市と川崎市は姉妹都市の関係にあった。
そのボルティモア港には北海道函館市の史跡、五稜郭によく似た構造のマクヘンリー要塞(ようさい)がある。1814年に英国の艦隊による夜間砲撃を受けたが何とか耐えしのび、そのことが2年以上続いていた米英戦争に潮目の変化をもたらした。戦いの一夜が明け、薄明りの要塞にはためく星条旗を目にして感動し、その様子を詩につづったのが弁護士のフランシス・スコット・キーだった。
この時の詩は後にメロディーが付けられ、愛国心…
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週刊エコノミスト
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