台湾でM7.7の地震 二つのプレートの圧縮力に起因/181
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台湾東部の花蓮県沖で4月3日午前8時58分(日本時間)、最大震度6強を記録する直下型地震が発生した。日本の気象庁によると、震源の深さは23キロメートル、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.7と推定されている。震源地は花蓮県の沖合で、その後もM6以上の揺れを複数観測するなど余震も続いた。
最大の震度を観測した花蓮市では多くの建物が半壊し、多くの人が一時、ビルに閉じ込められるなどした。4月13日現在で死者は17人、負傷者1100人以上が報告されている。日本でもこの地震によって沖縄県の与那国町で震度4を観測し、気象庁は直ちに宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に一時最大3メートルの津波警報を発表した。
今回の震源付近ではM6クラスの地震が年1回以上の頻度で起きていたが、M7クラスは少なかった。台湾で近年、最も被害が大きかったのは1999年9月に発生した、中部・南投県を震源とするM7.7(日本の気象庁発表)の地震(921大地震)で、内陸の活断層が動いた結果、建物の倒壊や大規模な土砂災害、ダム決壊などの被害が発生し、死者が2400人超、負傷者は1万人を超えた。
南海トラフとは別
地学的にみると、台湾は地球表面を十数枚で構成するプレート(岩板)の境界付近に位置し、地震活動が活発なことで知られる。台湾の南の海域では、中国大陸側にあるユーラシアプレートが太平洋側にあるフィリピン海プレートに沈み込んでいる。
一方、東の海域ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んで琉球海溝を形成し、その間にある台湾ではプレートの衝突により山が隆起して地震が頻発する。ちなみに、南海トラフ巨大地震が懸念される西日本では、琉球海溝と同じくフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる。
近年、頻発している台湾の地震は、二つのプレートの前縁部に働いている圧縮力に起因する。この領域の地…
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週刊エコノミスト
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