深圳市優必選科技 中国のロボットメーカー 富岡浩司
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UBTECH ROBOTICS 過去4年で4割増収/113
深圳市優必選科技(UBテック・ロボティクス)は中国のロボットメーカーだ。1976年生まれで木工機械メーカーを経営していた周剣氏(現最高経営責任者)が2012年、南部広東省の深圳市で創業した。地元紙『深圳特区日報』が22年に掲載した周氏のインタビューによれば、「08年に日本の展示会に参加した際、日本の小型ヒューマノイド(人型ロボット)を見たが、非常に高価で非売品だった」ことがロボットメーカーを起業する理由だったという。
物流事業が主力
UBテックが米調査会社フロスト&サリバンに依頼した市場調査によると、工業用ロボットを除く「スマートサービスロボティク製品・サービス」分野の22年売上高は達闥科技(クラウドマインズ)と杭州海康機器人(ハイクロボット)に次ぐ中国3位で、市場シェアは2.8%だった。「教育スマートロボット・サービス」分野の22年売上高では中国1位で市場シェアは22.5%だった。
UBテックのロボットは同年の北京冬季五輪の開会式でパフォーマンスを演じたほか、同社が昨年12月29日に香港証券取引所に上場した際の式典でも、ロボットが銅鑼(どら)を鳴らした。
主要事業は、物流▽教育▽消費者向け▽業種別──に大別できる。
物流事業は23年売上高の36.9%を占める主力だ。プログラムの通りに走行する無人搬送車(AGV)、倉庫管理システム(WMS)、製造実行システム(MES)などからなり、同事業の売上高は前年比47.9%増だった。
教育事業は23年売上高の32.9%を占めた。人工知能(AI)、ロボットを動かすソフトウエア、ロボットの設計などに関する教材を学校に販売する。ただ、同年中の納品が遅れたことから、同事業売上高は前年比32.8%減少した。
消費者向け事業の23年売上高は前年比91.5%増と伸びが大きく、同社の23年売上高に占める比率は24%に達した。ロボット玩具や猫用自動トイレなどを開発・販売する。23年は猫用自動トイレが中国、米国、欧州、韓国、トルコ、東南アジアで高い評価を得たという。
事業規模は年2割増
業種別事業は23年売上高の5.9%。病院向けのスマート車椅子ロボット、飲食店向けの配膳ロボット、中国の電気自動車大手が海外に開いた販売店で客に多言語対応などをするロボットなどを開発・販売する。同事業売上高は納期の遅れが響いて前年比24.5%減だった。
業績は安定的に成長している。23年売上高は10億5569万元(約222億円)となり、20年から43%増えた。背景には、ロボット市場が世界的に拡大していること…
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週刊エコノミスト
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