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工作機械受注に見る世界経済の回復感 藤代宏一

 世界経済の波を読むうえで、筆者は日本の「工作機械受注統計」(日本工作機械工業会)を重視している。

 理由は、工作機械受注額のサイクルが世界経済を映し出すグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)や、日本企業全体の業績(TOPIXの予想EPS=1株当たり純利益)と連動性を有するためだ(図1)。工作機械業界は年間受注額が2兆円に満たない規模ではあるが、経済指標としての存在感は大きい。

 3月の受注額は1356億円で、前年比伸び率は3.8%減とマイナス幅が縮小し、プラス圏への復帰を視界に捉えた。半導体業界の投資抑制が響き停滞していた受注額は、ここへ来て明るさを増している。

 グローバル製造業PMIに目を向けると、3月は50.6と0.3ポイント上昇した。16カ月連続で50以下の領域で推移した後、今年に入り3カ月連続で好・不況の分かれ目の目安とされる50を上回っており、世界経済の回復を印象付ける曲線を描いている。

 こうした状況下で日本企業の業績(TOPIXの予想EPS)は資本効率の改善や円安にも支えられ、増益基調がはっきりとしてきた。今後、半導体の回復期待がより明確化してくれば、その傾きは急になると予想される。

失速リスクは和らぐ

 次に、工作機械受注サイクルの位置取りを確認するために縦軸に受注額の水準(36カ月平均からの乖離(かいり))、横軸に方向感(6カ月前比)をとった循環図に注目する。この図…

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