中国で加速する賃金の地域間格差 人口減でも農民工の流入続く大都市 久保和貴
有料記事
中国では5月1~5日が労働節(メーデー)に伴う大型連休となり、帰省や観光による人流増加が各地で報告された。筆者も連休を利用して河南省を訪れた。河南省は黄河の南に位置し、古代「中原(ちゅうげん)」の中心に位置する歴史ある地域だ。古代王朝の多くが同省西部の洛陽に都を置いたほか、映画で有名な少林拳が生まれた嵩山少林寺も同省に位置する。
省都・鄭州市は歴史ある古都としてだけではなく、「新一線都市」としても有名だ。新一線都市とは中国の経済メディア「第一財経」が、都市の規模や将来性などを数値化してランク付けしたもののうち、最も有望な「一線都市」に次ぐ地位とされた都市を指す。
揚げパン1個20円
今回、鄭州に足を運ぶと、中心部には高層ビルが林立し、商業区域には外資系ブランド店がひしめくように建ち並んでいた。日本の漫画やアニメなどのコンテンツを集めた商業施設もあり、コスプレをした若者たちが押し寄せていたほか、即売会のような形式で自分たちが仕入れたグッズを販売していた。河南省に対してやや古めかしいイメージを持っていた筆者は思わず面食らった。
一方、市内の路地を巡って驚いたのは物価の安さだ。朝食で食べた油条(揚げパン)は握りこぶし二つ分ほどの大きさで1元(約20円)、肉入りのスープは5元(約100円)、夕食で食べた焼き肉は2人で250元(約5000円)だった。さらに、鄭州市から少し離れた農村部でタクシーを呼ぶと、2時間半乗っても運賃は200元(約4000円)と、筆者が生活する上海で1時間乗った時とほぼ同じだった。あまりの安さに、運転手に「運賃は合っているか?」と聞き直したほどだ。中国での賃金格差を…
残り692文字(全文1392文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める