中国外食産業の1割超を占める火鍋市場 最大手は「量より質」に 新興勢も台頭 奥山要一郎
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本格的な中華料理を指す「ガチ中華」が日本で話題になって久しい。特に火鍋は「ガチ中のガチ中華」といえるほどの存在感を放つが、中国現地ではもはや国民食レベルに昇華している定番だ。火鍋は外食産業の12%程度を占め、友人や同僚との食事の際のファーストチョイスになることも多い。ショッピングモールのレストランフロアでは火鍋店から席が埋まっていく光景もよく見る。
中国で“火鍋”は鍋料理全般を指し、冬の定番「北京羊しゃぶしゃぶ」や、牛肉のあらゆる部位を食べ尽くす「潮汕牛肉火鍋」、東北地方でよく食べられる「酸菜白肉火鍋」など、ご当地グルメ的側面もある。一番人気は重慶火鍋などの激辛タイプで、いわゆる「麻辣(マーラー)火鍋」だ。トウガラシや花椒(ホアジャオ)、各種香辛料が入った真っ赤な鍋底(スープ)は見るだけで食欲をそそり、汗が噴き出してくる。
火鍋市場の最大手は、日本にも進出している海底撈(ハイディラオ)だ。1994年に四川省簡陽で1号店をオープンし、創業30年で中国全土に1351店(2023年末時点)を構えるまでに成長した。大都市はもちろん、地方都市の大型モールでは必ずといっていいほど海底撈の店舗を見ることができる。23年売上高は前年比33.6%増の414億元(約21円換算で約8955億円)。22年に海外事業を分離したため単純比較はできないが、5年前の169億元と比べると約2.5倍の規模だ。
だが、直近5年間で中国国内の店舗を3倍超に拡大したため、重複エリアの店舗同士の客の奪い合いが起きた。ライバル店増加や店舗過剰に伴う消費者の「飽き」、食の安全問題や価格引き上げが大々的に報じられるなどの有名…
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週刊エコノミスト
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