健康不安説の習氏 ロシア支援より台湾侵攻を優先か 金子秀敏
有料記事
台湾の頼清徳総統の就任式が5月20日、開かれた。頼氏は「穏健」「自信」「責任」「団結」の「基本態度」を表明した。
「穏健」は、蔡英文前総統のとった中台関係の「現状維持」路線を継承し「独立」は目指さないことを意味する。中国の軍事威嚇に屈しない「自信」、民主主義国の一員としての「責任」、「団結」とは、中国の分裂工作に対し台湾側が団結して対応することだ。
「中国は2027年までに台湾を統一する」と米国は見る。台湾海峡では中国海空軍が威圧行動を増やしている。台湾内では、立法院(国会)で親中国の野党が「立法院改革関連法案」などの強行採決を図り、少数与党の民進党と乱闘を演じた。野党は台湾分裂を狙う中国の意を体しているとされ、大規模な抗議集会が起きた。
動いた米中露の首脳
5月に入り、米国のバイデン大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領が動いた。
バイデン氏は中国製電気自動車(EV)の関税を25%から100%に引き上げるなど対中制裁関税を大幅に引き上げた。すでにロシアへ軍用品を供給したとして中国企業約340社を制裁しているが、加えて中国の主要輸出品の関税を大幅に引き上げた。ロシア支援を続ける中国に制裁を強化した。
軍事面では、4月、台湾に近いフィリピン北部に米軍の中距離ミサイル発射装置が置かれた。トマホークミサイルを使えば、中国沿海部の都市が射程内に入る。虚を突かれた中国は、フィリピン政界への浸透工作で親米マルコス政権を倒そうと画策しているという。
習氏は5月上旬、フランス、セルビア、ハンガリーを訪問した。彭麗媛夫人も同行した。フランスではエリゼ宮でマクロン大統領、フォンデアライエ…
残り682文字(全文1382文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める