公益と私益の正しい関係とは?/211
有料記事
Q 政治の公私混同は言語道断。公益と私益の正しい関係を教えてください 最近の政治を見ていると、公私混同が甚だしいように思えてなりません。ただ公と私の問題は、昨今企業にも公益が求められるだけに難しい問題です。私たちは公益と私益の関係をどう捉えていけばいいのでしょうか?(商社勤務・50代男性)
A まずは公益ありき。それに私益を合わせることで両者の一致をもくろむのです
政治家が政治資金パーティーで集めたお金を裏金化したりキックバックしたりというのは、明らかな公私混同であるといえますね。もっとも、ご指摘のように一般的には公と私の切り分けは、そう簡単ではありません。
そこで参考にしたいのは、ジャーナリストであり首相も務めた思想家石橋湛山です。思想家としての湛山は「小日本主義」の提唱者として知られます。これは当時主流であった大日本主義、つまり植民地主義に異を唱え、むしろ経済的自由主義や国際協調を推し進めようとする考え方のことです。
何が公益なのかを熟考
その背景には、少なくとも自由主義とプラグマティズム(実用主義)という二つの哲学が横たわっていたといっていいでしょう。自由主義とは、個人の自由を重視する哲学です。でも、だからといって私利私欲に走っていいということでは決してありません。湛山の自由主義は、あくまで公益に私益を合わせることで両者の一致をもくろむものでした
他方プラグマティズムは、アメリカ発の柔軟に物事を捉える思考です。これによって、その時々の状況に応じて最も合理的な判断をすることが可能になります。かたくなに一つの考え方にこだわる硬直化した態度とは対極的といえます。そのせいで、時に湛山…
残り660文字(全文1360文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める