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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

MBAを取得していません。出世はできませんか/212

マシュー・スチュワート(1963年~)。経営コンサルタント、独立研究者。もともとは、哲学で博士号を取得している哲学者としての顔を持つ。著書に『宮廷人と異端者』などがある。(イラスト:いご昭二)
マシュー・スチュワート(1963年~)。経営コンサルタント、独立研究者。もともとは、哲学で博士号を取得している哲学者としての顔を持つ。著書に『宮廷人と異端者』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q MBAは出世に必要でしょうか 社内でも出世する人はMBA(経営学修士)を取得して、マネジメントの専門知識を身に付けているようです。自分はそういう機会にも恵まれなかったので、出世をあきらめるしかないのでしょうか?(メーカー勤務・40代男性)

A “善良な教育”から得られるリベラルアーツの産物に期待してみては

 私が商社で働いていた1990年代とは異なり、今は手軽にMBAを取得できる時代になりました。国内のビジネススクールも増えましたし、働きながらオンラインで学べるコースもあります。

 それゆえにマネジメントを担うような人は、MBAの一つも持っていて当然というような風潮が出てきているのでしょう。しかし、企業経営に本当にそうした学位が必要なのでしょうか? そう問題提起をするのが、哲学者出身のコンサルタント、アメリカのマシュー・スチュワートです。

 彼はマネジメントを哲学と捉え、現在の薄っぺらいマネジメント教育を批判しています。つまり、MBAなどのビジネススクールで行われているのは、研修であって教育ではないというのです。

ビジネスにも哲学を

 簡単にいうと、研修とはスチュワートがいうハードな学習、つまり理論や量的分析などの表面的なスキルを学ぶ機会にすぎません。それに対し、教育で求められるのはソフトな学習なのです。それは良質なリベラルアーツ、つまり質のいい教養教育の産物なのです。

 ただ問題は、その意味でのソフトな学習は、広範囲の教育経験がもたらす予想不可能な相互作用によって間接的に蓄積されるよりほかなく、講義の中で学べるものではない点です。

 しかし、そういうソフトな学習機会を提供しないことには、…

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