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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

ストレス解消にスナック菓子をたべてしまいます/213

ロバート・プロクター(1954年~)。アメリカの科学史家。専門は20世紀の科学技術、医学。著書に『健康帝国ナチス』などがある。(イラスト:いご昭二)
ロバート・プロクター(1954年~)。アメリカの科学史家。専門は20世紀の科学技術、医学。著書に『健康帝国ナチス』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q ストレス解消にスナック菓子。健康への害、どこまで信じるべきか 私は仕事のストレスを解消するために、よくスナック菓子を食べます。ところが、周囲からは健康によくないので食べ過ぎないよう注意されます。体に悪いものなら売っているはずはないと思うのですが、どこまで信じるべきでしょうか。(金融業・40代男性)

A 「無知」は意図的に作られたものか否かを調べ、身を守ろう

 たしかに私も、日ごろ自分が口にしているものについての有害性を意識したことはありません。それだけに、人から指摘されると自分の無知に驚いてしまいます。そう、私たちは意外と無知なのです。

 今回はそんな無知について、最近学問の世界で話題になっている無知学(アグノトロジー)を紹介しながら考えていきたいと思います。参考にするのは、その提唱者の一人であるアメリカの科学史家ロバート・プロクターの考えです。

 簡単にいうと無知学とは、歴史の中で無知がいかにして作られてきたかを探究する学問だといっていいでしょう。歴史学や哲学などさまざまな分野を横断して研究がなされています。

 特にプロクターが指摘するのは、社会において無知が意図的に作り出されてきたという点です。

マクロバイアスに着目

 たとえば彼が挙げる有名な例は、タバコの有害さについてです。タバコは有害といわれる一方で、科学分野から出されるさまざまな研究で、結局どこまで有害なのかわからなくなっています。

 プロクターは、こうしたことが今、多くの分野で起こっていると主張します。特に危惧すべきなのは、地球温暖化をめぐる議論です。温暖化は本当に企業活動の結果なのかどうか。厄介なのは、科学が価値の中立性を標…

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