マーケット・金融 グラフの声を聞く

次の恐慌は1930年代と違い「超インフレ型」か 市岡繁男

 1927年2月から29年9月にかけて米短期金利は4.13%→6.25%に上昇したが、その過程で株価は2.4倍になった。つまり大恐慌前の米金融市場では、金利と株価の上昇が同時に起きていたのだった。またこの間、長期国債は横ばいで推移し、長短金利の逆転が常態化していた(図1)。FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を上げたのは、株式投機熱を冷ますことが目的だった。だが英国との金利差拡大で海外マネーが流入し、かえって株価が高騰する結果となった。

 翻って今、100年前と同じことが起きている。トランプ前大統領の就任後、長短金利の上昇と同時に、株価は7割高になった。その後、コロナ禍を経た22年後半以降も、金利と株価が同時に上昇している(図2)。また、米国株高の原動力は高金利に吸い寄せられたジャパンマネー等の流入であり、長短金利の逆転も昔と一緒だ。

残り245文字(全文619文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

9月24日・10月1日合併号

NISAの見直し術14 長期・分散・積み立てが原則 「金融リテラシー」を高めよう■荒木涼子16 強気 「植田ショック」から始まる大相場 日経平均は年末4万5000円へ■武者陵司18 大恐慌も 世界経済はバブルの最終局面へ  実体経済”に投資せよ■澤上篤人20 中長期目線 「金利ある世界」で潮目変化  [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事