ロシアに「ルーブルと金兌換」という反撃の奥の手あり 市岡繁男
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世界は約80年ごとに政治経済が一変してきた。1780年代のフランス革命、米国独立戦争、天明の大飢饉(ききん)、1860年代のイタリア・ドイツ国家統一、米国南北戦争、幕末・明治維新、1940年代の世界大戦がその事例であり、その都度、貨幣価値が失われた(図1)。
2020年代の今回もコロナ禍、ウクライナ戦争と続いたが、本当の混乱はこれからだ。火種はあちこちにあるが、一つのシナリオは、西側諸国とロシアとの対立が深まる中、ドル基軸体制が揺らぐことだ。
いま欧米はウクライナに、ロシア領内に到達するミサイルの使用を許可したようだ。そうなると西側諸国とロシアの直接対決になる恐れがあるが、新任のロシア国防相は敏腕の経済学者である。ロシアは自らも傷つく核戦争ではなく金融戦争を選択するのではないか。ルーブルと金の兌換(だかん)開始を宣言することでドルの信用失墜を狙うのだ。その途端に米金利は上昇し、西側諸国は金融危機に陥るだろう。
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週刊エコノミスト
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