富の偏在は社会を不安定にさせる 市岡繁男
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2010年、英国の学術誌『ネイチャー』は専門家に、10年先の各分野を予測するよう求めた。ロシア出身の生態学者、ピーター・ターチンは「2020年は社会が不安定になり、その状態が10~15年は続く」と回答した。根拠は「社会には統合で始まって危機で終わるサイクルがある」というものだ。
「時が経過するとともにエリートたちは過去の教訓を忘れ、自分たちに有利な方法で経済を再構成し始める。例えば大恐慌後、米国の富裕層は90%以上の所得税率を受け入れてきたが、今日ではそうした考えは拒絶される」(英紙のインタビュー記事)
更に「この50年間、富は貧者から富者へと流れ、底辺の人々をいら立たせる一方、社会の上層部は限られたポストを巡って熾烈(しれつ)な争いを繰り広げてる。国家を崩壊させるのは、そんなエリートたちの内紛だ」と断じる。
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週刊エコノミスト
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