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深刻な「景気ウオッチャー調査」の成績悪化 藤代宏一

 街角景気を示すとされる内閣府の「景気ウオッチャー調査」は速報性に優れていることに加え、予測精度が高いことが知られており、国内総生産(GDP)との連動性が認められている。

 また株価に対しても、方向感に一定の連動性がある(図1)ほか、同調査の数値が改善傾向にある時に日本株が米国株に対して優位になるという関係がある(図2)。

 この調査が始まった2000年当時は、タクシードライバーや商店街の店主の景況感を聞いて、本当に役に立つのかという疑念があったそうだが、今や多くの専門家が重宝する指標になっている。

 6月10日に発表された5月の景気ウオッチャー調査の結果は予想外に軟調であった。

 現状判断DIが45.7と前月差1.7ポイント低下し、先行き判断DIも46.3と同2.2ポイント低下した。双方とも22年の夏場と同程度の低水準で、さえない街角景気が浮き彫りになった。

 22年夏はまだ「コロナ期」である。インバウンドの回復は極めて限定的で、ロシアのウクライナ侵攻による1次産品価格の急上昇にも見舞われていた時期であるから、5月の数値は失望感が強い。

家計動向は「総崩れ」

 現状判断DIの低下を主導したのは家計動向関連であった。内訳では小売り、飲食、サービスが大きく落ち込み、住宅も低水準で、まさに「総崩れ」状態だ。6月以降の定額減税を見込み、家計が消費活動を前倒しするとの期待もあったが、少なくとも結果からそ…

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週刊エコノミスト

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