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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

ハラスメントが怖くて後輩を指導できません/215

荀子(紀元前298?~238年?)。中国戦国時代の思想家。孟子と並び称される孔子を始祖とする儒学の継承者。著書に『荀子』がある。(イラスト:いご昭二)
荀子(紀元前298?~238年?)。中国戦国時代の思想家。孟子と並び称される孔子を始祖とする儒学の継承者。著書に『荀子』がある。(イラスト:いご昭二)

Q 後輩への厳しい指導、ハラスメントも気になりちゅうちょします 後輩に対して厳しく指導しなければならない場面があるのですが、ハラスメントに対する昨今の風潮もあって、いうべきこともいえずちゅうちょしてしまいます。(製薬会社勤務・50代女性)

A 組織の縦の分業をこなす、役割としての指導を心がけてみよう

 これは現代を生きる上司や先輩という立場にある人誰もが抱える問題です。厳しい指導が間違いだといわれると、その良い面も知っている世代にとっては、釈然としないところがあるでしょう。

 厳しい指導は全否定すべきなのかどうか。中国の思想家荀子(じゅんし)の考えを参考に考えてみたいと思います。一般に荀子は、性悪説で知られています。人間はもともと悪なので、正しく育つためには厳しく指導する必要があるという考え方です。

 彼がこのような考えを持ったのは、人間の欲望という現実に目を向けたからです。それはまた、彼が王侯のアドバイザーであったことからもわかるように、組織における秩序にも求められる態度だといっていいでしょう。縦の厳しい関係がないと、集団はまとまりませんから。

 もっとも、だからといって何も上の人が偉いとか絶対だという意味ではありません。それはあくまで縦の分業ともいうべき知恵なのです。組織において役割分担が必要なことは誰もが認めるでしょう。これは横の分業です。そうしないと全体がうまくまとまらないからです。皆が同じことをしていては、組織の意味がなくなります。

 同様に、縦の関係でも役割分担が必要なのです。いわばそれは縦の分業なのです。縦の分業の場合、当然指導する立場にある人は厳しいことをいうことが求められ…

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週刊エコノミスト

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