そろそろ東アジアの共同体の実現を目指してもいいのでは/218
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Q そろそろ東アジアの共同体の実現を目指してもいいのでは 台湾の世界最大級の半導体メーカーTSMCが熊本に工場を建設し、大きな経済効果をもたらしています。私はこれを機に、以前から議論されてきた東アジアの共同体のような連携を進めるべきだと思うのですが、難しいのでしょうか?(メーカー勤務・50代男性)
A ナショナリズムを超え世論を力に、対等に対話・合意する機会持とう
ウクライナとロシアやガザ地区の戦争もあって、今世界は不安定化しているといわれます。中でも台湾有事の可能性を抱える東アジア地域は特にそうです。ただ、一方でこの地域の経済的結びつきは強く、それは中国と台湾の間においてさえ例外ではありません。
そこで、むしろ東アジア共同体やさらに広くアジア共同体のような連携ができないか、この問題について長きにわたり持論を展開してきた日本の政治学者・姜尚中の思想をもとに考えてみましょう。
姜は自らが生まれ育った熊本に目を向けることで、パトリ(故郷)という視点こそが普遍性につながるとして、むしろそうしたローカルな個別性を掘り起こすことの重要性を訴えています。もちろん、それは国民国家への愛着を惹起(じゃっき)するナショナリズムと裏腹の関係にあるのはいうまでもありません。
似た社会課題持つ国々ゆえ
しかし、ナショナリズムを超えることは決して不可能なことではないのです。実はつい最近姜を迎え、このテーマについて若者たちを交えて対話する機会を持ちました。そこでなされた提案は、東北アジア・コモンハウスというこの地域の国々が共に対等な立場で話し合う場の設置でした。
特にこの提案は日本や台湾、そして韓国といった東…
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週刊エコノミスト
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