「トランプ再選」に身構える中国 対中包囲網への影響注視 河津啓介
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米大統領選の行方に、中国でも関心が高まっている。共和党のトランプ前大統領が選挙集会中に銃撃を受けた事件は、中国国内にも衝撃が広がった。トランプ氏が星条旗を背景に拳を突き上げる映像は中国のSNS(ネット交流サービス)上でも拡散。中国紙『環球時報』元編集長の胡錫進氏は事件直後、「トランプ氏がホワイトハウスにまた一歩近づいた」とSNSに投稿した。
民主党のバイデン大統領が選挙からの撤退を表明して波乱が重なる中、中国にとってトランプ氏の再選は有利か、不利か。ネット世論では、トランプ氏とは「ディール(取引)」が可能との見方が根強い。ただ、識者には慎重な見方が多いようだ。
政府系シンクタンク・上海社会科学院国際問題研究所の周嘉希氏は7月発行の学術誌『統一戦線学研究』で、次期米大統領が誰であれ「強硬な対中基調は続く」と分析。そのうえで、トランプ氏が再選すれば「対中政策はより強硬になり、予測の難しさや極端な圧力で2国間関係は更に緊張し、不確実になるだろう」と主張した。
米国とその同盟国の関係に着目する識者もいる。清華大国際関係研究院の閻学通院長は中国紙『北京日報』(電子版)のインタビュー動画(7月4日)で「トランプ氏が再選しても、米国の国民は1期目の4年間で彼がどんな人物か分かっており、さほど衝撃はないだろう。(中露のような)競争相手に対する姿勢もバイデン時代から大幅に変わるとは思えない。ただ、米国の同盟国への政策は、重大な変化が起きるはずだ」と指摘した。
閻氏は「トランプ氏が同盟国に経済面で圧力を加えれば、そうした国々は、中国と協力する経済的利益を再認識せざるを得なくなる」とし、中国が米国…
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週刊エコノミスト
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