米国民が抱く悪い景況感は操作された結果? 物価高と金利負担が生む“被搾取”感のせい? 岩田太郎
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粘着度の高いインフレーションに悩まされる米経済だが、1~3月期の国内総生産(GDP)は前期比1.4%成長し、フィラデルフィア連銀がまとめた4~6月期の予測では2.1%増と好調が続くとみられる。一方で、各種調査や局部的なデータは、消費者の景況感が改善していないことを示唆している。なぜ米経済は強いのに、人々の認識とギャップが存在するのか。11月の米大統領選の争点として議論されている。
世論調査のユーガブが7月12日に公表した1110人の米成人を対象にした大統領選に関する世論調査では、64%の回答者が「インフレは米国における非常に重大な問題だ」と回答した。
こうした中、消費者金融サービス大手の米バンクレイトが5月中旬に実施した2300人に対するアンケート調査では、およそ3分の1の回答者が「給料から給料へ綱渡り」の生活だと回答した。また、バンクレイトが2400人の回答を得た別の調査では、36%が「副業を持っている」と答えた。
バンクレイトの上席アナリストを務めるテッド・ロスマン氏は7月11日付の米経済誌『フォーチュン』の記事で、「およそ半数の回答者は年率25~30%の利息がつくリボ払いのクレジットカード負債を抱えており、これだけ多くの人が副業を持たなければならない状況は、懸念材料だ」と語った。
メディアに左右される景況感
一方、ノーベル経済学賞の受賞者で、ニューヨーク市立大学大学院センター教授のポール・クルーグマン氏は7月9日付の米『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿。消費者の悲観に対する仮説として、「①米国人の生活は、実際に経済データが示唆する以上に悪い、②最近インフレが収まってきたに…
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週刊エコノミスト
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