新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

米国民が抱く悪い景況感は操作された結果? 物価高と金利負担が生む“被搾取”感のせい? 岩田太郎

米消費者はクレジットカードの重い金利負担に苦しむ(2023年10月、ニューヨーク) Bloomberg
米消費者はクレジットカードの重い金利負担に苦しむ(2023年10月、ニューヨーク) Bloomberg

 粘着度の高いインフレーションに悩まされる米経済だが、1~3月期の国内総生産(GDP)は前期比1.4%成長し、フィラデルフィア連銀がまとめた4~6月期の予測では2.1%増と好調が続くとみられる。一方で、各種調査や局部的なデータは、消費者の景況感が改善していないことを示唆している。なぜ米経済は強いのに、人々の認識とギャップが存在するのか。11月の米大統領選の争点として議論されている。

 世論調査のユーガブが7月12日に公表した1110人の米成人を対象にした大統領選に関する世論調査では、64%の回答者が「インフレは米国における非常に重大な問題だ」と回答した。

 こうした中、消費者金融サービス大手の米バンクレイトが5月中旬に実施した2300人に対するアンケート調査では、およそ3分の1の回答者が「給料から給料へ綱渡り」の生活だと回答した。また、バンクレイトが2400人の回答を得た別の調査では、36%が「副業を持っている」と答えた。

 バンクレイトの上席アナリストを務めるテッド・ロスマン氏は7月11日付の米経済誌『フォーチュン』の記事で、「およそ半数の回答者は年率25~30%の利息がつくリボ払いのクレジットカード負債を抱えており、これだけ多くの人が副業を持たなければならない状況は、懸念材料だ」と語った。

メディアに左右される景況感

 一方、ノーベル経済学賞の受賞者で、ニューヨーク市立大学大学院センター教授のポール・クルーグマン氏は7月9日付の米『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿。消費者の悲観に対する仮説として、「①米国人の生活は、実際に経済データが示唆する以上に悪い、②最近インフレが収まってきたに…

残り677文字(全文1377文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事