EUが11月から中国製EVに課す暫定追加関税に独自動車業界は強く反発 熊谷徹
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欧州委員会は7月5日、中国から輸入される電気自動車(EV)に最高37.6%の追加関税を暫定的に適用した。ただ、中国市場への依存度が高いドイツ自動車業界は「EU(欧州連合)の措置は自由貿易の原則に反する」と批判し、関税が正式に課される今年11月までに交渉により事態を打開するよう求めた。
仏紙『ルモンド』(7月4日電子版)は「欧州委員会は、中国政府がEV生産だけではなく、天然資源の採掘からEV輸送に至るまで不当な補助金を出しているとの結論に達した。その結果、中国製EVは欧州製よりも約20%安い。中国製EVの欧州EV市場のシェアは2019年には1%未満だったが、23年には8%に増え、25年には15%に達する可能性がある」と報じた。
独経済紙『ハンデルスブラット』は7月4日電子版で、「キール世界経済研究所などの試算によると、EUが11月に最終的に追加関税の徴収を始めた場合、中国製EVのEU域内への輸入量は、現在に比べて42%減る。ただし輸入台数の減少はEU域内のメーカーによって相殺されるので、消費者にとってEV購入価格の上昇率は0.3~0.9%にとどまる」と伝えた。
独公共放送連盟(ARD)のニュース番組「ターゲスシャウ」は7月4日、「ドイツ自動車業界は中国の制裁措置を恐れており、EUの決定を強く批判している」と指摘。独BMWのオリバー・ツィプセ社長の「追加関税は我々を袋小路に追い込む。グローバル企業に損害を与え、消費者には購入できるEVの車種を制約し、モビリティーの脱炭素化にブレーキをかける」という言葉を引用した。独フォルクスワーゲンの広報担当者も「追加関税による損害は、利益に比べ…
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週刊エコノミスト
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