ドイツ初のグリーンアンモニア国際入札結果に国内の水素関連業界が失望の声 熊谷徹
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ドイツ政府は7月11日、国際入札を通じてエジプトから次世代エネルギーの「グリーンアンモニア」を欧州へ輸入する契約が初めて成立したと発表した。
独保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』(7月11日付電子版)は「2022年にドイツの半官半民組織『H2グローバル財団』が入札を実施し、グリーンアンモニアの供給企業を募集。アラブ首長国連邦のファーティグローブ社が、27年から6年間、少なくとも25.9万トンのグリーンアンモニアをドイツなど欧州諸国へ供給する契約を落札」と報じた。
水素の派生物質であるグリーンアンモニアはエジプトの再生可能エネルギーによる発電設備で生産され、輸送船でドイツなどに輸送される。グリーンアンモニアは、港に設置された「クラッカー」と呼ばれる設備によって、水素に変換される。
FAZによると契約額は3.97億ユーロ(635億円・1ユーロ=160円)。グリーンアンモニアの生産費用は1トン当たり811ユーロ(約13万円)で、グリーン水素の生産費用は1キログラム当たり約4.5ユーロ(720円)。輸送費を加算するとグリーンアンモニアの生産費用は1トン当たり約1000ユーロだ。
この入札は22年12月に行われたが、結果が公表されるまでに約1年半もかかった。ドイツ政府が9億ユーロ(1440億円)の助成金を投じて、ファーティグローブ社が希望した販売価格と、欧州企業の買い取り価格の差額を埋めたことで契約が成立した。
ドイツの経済週刊誌『ヴィルトシャフツ・ヴォッヘ』は7月12日付電子版で、H2グローバル財団のエクセンベルガー専務理事のコメントを引用した。同氏は、「この入…
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週刊エコノミスト
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