ハリス陣営の食品“便乗値上げ禁止”策に「大衆迎合」と批判殺到 岩田太郎
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米民主党の大統領候補に指名されたハリス副大統領が8月16日に、新たな経済政策を発表した。高インフレで弱体化した中間層の復活などバイデン政権の方針を引き継ぎつつ、生活コストの削減に取り組み、家計の負担の軽減を図る内容だ。しかし、米論壇では食料品価格に関する目玉政策の有効性や実現性をめぐり、強い批判が一斉に巻き起こっている。
ハリス大統領候補の経済政策は、①食料品の価格つり上げ禁止、②住宅コスト抑制対策、③児童税額控除の拡充、④医薬品コストの削減から成り、陣営は11月に投票が行われる大統領選挙の最大の争点となっている経済分野で、対立候補である共和党のトランプ前大統領との戦いを有利に進めたい考えだ。
この内、生活者に最も身近な食品価格について、米ビジネス誌の『Inc.』は8月20日付の記事で、「大手食品小売りチェーンのウォルマートやターゲットは何百もの品目を値下げし、全国ブランドより安価なプライベートブランド(PB)商品の種類を増やしている。だが、米家計で毎月の可処分所得の平均11.3%に達する食料品価格の高止まりの解決には程遠い」と指摘した。
一方、米食品産業協会(FIA)のレスリー・サラシン会長は8月15日に発表した声明で、「食料品小売りの利益率は常に極めて薄く、2023年にはわずか1.6%であった。インフレと違法な便乗値上げを混同するのは不正確で無責任だ」とハリス氏に反論。
保守派のタブロイド紙である『ニューヨーク・ポスト』は8月16日付の社説で、「米生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)は、一貫してほぼ同じペースで上昇と下降をしてきた。つまり、生産者は基本的にコ…
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週刊エコノミスト
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