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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

SDGsで世界の足並みがそろわないのはなぜ?/220

ディペシュ・チャクラバルティ(1948年~)。インド出身の歴史学者。ポストコロニアル理論で知られる。著書に『一つの惑星、多数の世界』などがある。(イラスト:いご昭二)
ディペシュ・チャクラバルティ(1948年~)。インド出身の歴史学者。ポストコロニアル理論で知られる。著書に『一つの惑星、多数の世界』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 地球を守るためのSDGs。世界で足並みがそろわないのはなぜ? 今、世界中でSDGsを掲げて地球を守ろうとしていますが、どうして国レベルで足並みがそろわないのでしょうか。国際的な枠組みにはやはり限界があるのでしょうか。(地方公務員・50代男性)

A 地球を当事者と見なす「惑星性」の発想で、惑星気候変動という大きな視点を持とう

 気候変動をはじめとした環境問題に関しては、京都議定書でも確認された「共通だが差異ある責任」というスローガンが前提となっています。問題は、その共通性にさえ合意が見られない点にあります。そこで参考にしたいのが、インドの歴史学者ディペシュ・チャクラバルティの思想です。

 チャクラバルティにいわせると、この世には二つの世界観が存在します。一つは人間中心的(ホモセントリック)世界観で、もう一つは生命中心的(ゾエセントリック)世界観です。

 人間中心的世界観に基づくと、気候変動は資本主義的グローバリゼーションの延長線上に置かれ、人間同士の分断や対立といった政治問題に矮小(わいしょう)化されてしまいます。これが足並みがそろわない原因です。政治の対立はあくまで国家を単位としており、それが国益に基づいている以上、どこまでいっても共通になることはありません。

深層史の中での位置付け

 これに対して、生命中心的世界観によると、そもそも気候変動をこの惑星上のすべての生命の視点から捉えることになるため、むしろ惑星気候変動としてより大きな枠組みの中で位置づけるのです。これは惑星全体を一人の当事者とみなす「惑星性」の考え方だといっていいでしょう。

 そうすることで初めて、気候変動を資本主義の歴史…

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