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米下院が9月に対中規制法案を集中審議する“チャイナウイーク” 清水梨江子

対中規制法案の行方は?(写真は米連邦議会議事堂)(Bloomberg)
対中規制法案の行方は?(写真は米連邦議会議事堂)(Bloomberg)

 米連邦議会は、毎年8月から9月第1月曜日の祝日「レーバーデー(労働者の日)」が明けるまで夏季休会となる。今年の議会は9月9日に再開される予定であるが、下院は9月中にも中国の不公正な貿易慣行や国家安全保障上の脅威に焦点を当てる「チャイナウイーク」を設け、そこで複数の中国関連法案を可決することを目指している。

 下院の多数派を共和党が、上院の多数派を民主党が占める現在の議会では、党派対立によりほとんどの法案が成立しないといわれるが、その中で中国関連法案は、超党派の支持を得て可決される見込みがある数少ない法案の一つであるとされる。しかし、2023年1月に開会した現在の議会では、「中国」という単語が盛り込まれた法案が700本以上も提出されているにもかかわらず、上下両院で可決され、実際に法律となった法案はわずか7本にとどまった。

議長は意気込むが……

 ジョンソン下院議長は、こうした状況を打開し、来年1月に発足する新政権が中国に対して一層強硬な姿勢をとれるよう、夏季休会明けに複数の中国関連法案を下院で可決し、上院の賛同も取り付けた上で、年内に大統領の署名を得て法律として成立させるとの意気込みを見せている。

 下院が可決を目指す複数の法案の中には、中国への対外投資を制限する法案▽一定額以下の輸入品には関税を免除するという「デミニマス規定」の中国への適用を制限する法案▽中国への輸出管理を強化する法案──などが含まれている。中国に対する投資制限を巡っては、23年8月の大統領令にのっとって関係各省が進めている半導体、量子情報技術、人工知能の3分野における厳格な投資審査手続きを法律に明文化することを支持…

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