データセンターが集まるバージニア州で電力需要急増 嶋田恵一
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筆者が住んでいるワシントンDC郊外では停電が起きたという話をよく聞く。日本では大型台風の直撃でもない限り、停電はあまり発生していなかったように思う。しかし、こちらでは自動車事故や強風による倒木で送電線が切れたり、集中豪雨で変圧器がショートしたりと、比較的ローカルな災害や事故が地域一帯の停電につながることがある。スタッフと話をしていると「また停電か」といった反応である。
このように災害、事故への耐性に課題を持つワシントン周辺の電力インフラであるが、最近、隣接するバージニア州で将来の電力安定供給に対する懸念の声が上がり始めている。同州の電力供給を担うドミニオンエナジー社は6月、今後15年間で同州の電力需要が約9割増加すると発表した。これは年平均で4~5%増を意味する。同州の電力需要の伸びは過去、年平均0.5%程度であったので、約10倍の伸び率に相当する。
これを同州内の発電所増強で対応するのであれば、現在の州内の発電能力約22ギガワットを、2039年に少なくとも40ギガワットレベルに拡大させなくてはならない。複数基の発電設備で構成される発電所1カ所の発電能力を1ギガワットと想定すれば、15年間にわたる年1カ所強ペースでの増設が必要になる。
電源確保に企業が奔走
この電力需要増の主な原因は同州北部に集積するデータセンターである。ダレス国際空港を東部に抱える同州ラウドン郡を中心とした地域は米国最大のデータセンター集積地となっている。もともと、連邦政府などのデータセンターがあった地域に、10年代後半からアマゾンなどのIT企業が進出し始めた。新型コロナウイルス禍でオンライン会議の利用が拡大…
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週刊エコノミスト
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