1本の映画で同じ俳優が複数の役柄 3部構成オムニバスの不条理劇 野島孝一
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映画 憐(あわ)れみの3章
アカデミー賞でエマ・ストーンが主演女優賞を受賞した「哀れなるものたち」のヨルゴス・ランティモス監督の最新作だ。毎回どんな作品を見せてくれるか見当がつかない監督の作品だけに、おそるおそるという感じで見ていると、やっぱり意表を突かれた。3部構成になっているのだが、普通のオムニバスではなく、同じ俳優が、まったく違う役柄を演じている。
第1話はレイモンド(ウィレム・デフォー)という上司に、日常生活のすべてを管理されているロバート(ジェシー・プレモンス)をめぐる話。ロバートはレイモンドの言うことは何でも聞く代わりに高給を得ている。ある日、ロバートはレイモンドに命じられて、自分の車を指定された車にぶつけて負傷する。それなのにレイモンドはロバートに再び同じ車に、もっとスピードをあげて激突するように命じる。
第2話は警察官ダニエル(ジェシー・プレモンス)の妻で海洋学者のリズ(エマ・ストーン)が行方不明になる。しばらくしてリズは発見される。多少衰弱しているが、異常はないという。リズは家に戻ってくるが、これまでは嫌いだったチョコレートケーキを大量に食べるなどの不自然な点が目立ちはじめる。ダニエルは妻が別人ではないかと疑う。
第3話は、あるカルト教団の話。エミリー(エマ・ストーン)とアンドリュー(ジェシー・プレモンス)は、死体安置所へ女性を連れてきて死体に触れさせ、死体を生き返らせることができるかを試す。2人は教団のリーダー(ウィレム・デフォー)らのために特殊能力を持つ人材を発掘しようと奔走していた。
まったく脈絡のない3話の出現に戸惑うばかり。ただ、シャツの胸に「R.M…
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週刊エコノミスト
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