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教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

宮崎県沖でM7.1地震 初の南海トラフ「臨時情報」発表/195

 宮崎県沖で8月8日午後4時42分に地震があり、同県日南市で最大震度6弱を観測した。震源は宮崎の東南東30キロメートル付近で、震源の深さは30キロメートル、地震の規模はマグニチュード(M)7.1と推定された。この地震で気象庁は宮崎、鹿児島、高知など各県に津波注意報を出し、宮崎県で最大で50センチメートルの津波を観測した。さらに初の「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表し、1週間の巨大地震に対する注意を呼びかけた。

 地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の日向灘で発生した。断面図で見ると、日本列島のあるユーラシアプレートの下に沈み込むフィリピン海プレートとの境界で起きており、逆断層型であることから2030年代の発生が予想されているM9規模の南海トラフ巨大地震と同じメカニズムで起きたものである。ちなみに、今回のM7.1という規模は、南海トラフ巨大地震に比べて数百倍小さい。

 今回の「臨時情報」は、南海トラフ地震の想定震源域を含む「監視領域」で一定規模の地震が起きた後、続けて発生が見込まれる巨大地震に備えて発表されるもので、2019年5月に運用が始まって以来、初の発表となった。気象庁は今回、想定震源域内で「臨時情報」発表の基準(M6.8)を超える地震が発生したため、臨時情報の「調査中」を午後5時に出し、午後5時半から地震専門家を集めて評価検討会を開いた。

 その結果、地震はプレート境界の一部が割れたと断定し、午後7時15分に「巨大地震注意」を発表した。大規模な地震が発生する可能性が普段と比べて高まっているとし、松村祥史防災担当相はこれを受けて、関東から沖縄にかけての太平洋側の住民に、1週間ほどの後発地震への警戒を呼びかけた。

2030年代に予想

 この地震によってお盆直前の日本各地で大きな影響が出た。新幹線など公共交通機関に遅れと運休が出たほか、海水浴場の遊泳禁止や高齢者施設での…

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週刊エコノミスト

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