間もなく副大統領候補の討論会 同じラストベルト狙いの人選だが 西田進一郎
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米大統領選において、副大統領候補は「ランニングメート(伴走者)」と呼ばれる。大統領候補とペアを組み、投票日までの道のりを文字通り伴走する。大統領候補による人選は、その選挙戦術と密接に結びついている。
一般的なのは、「弱点」を補完する形だ。大統領候補が、自身の人種、性別、経歴、地元などを考慮し、支持拡大に有効な人物を起用する。例えば、民主党のバイデン大統領は白人男性で高齢だ。副大統領候補に起用したのは、ジャマイカ出身とインド出身の夫婦の下に生まれた黒人女性であり、若いハリス氏だった。
弱点補完か基盤強化か
ハリス氏が今回指名したのは中西部ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(60)だ。白人男性で、高校教師やアメリカンフットボールのコーチ、さらに長年にわたり州兵も務めた。共和党地盤の選挙区を勝ち抜いて連邦下院議員となり、12年務めて現職に就いた。ハリス氏に足りない議会や行政トップの豊富な経験を持ち、飾らない人柄でも知られる。弱点補完型だ。
ウォルズ氏の起用には、勝敗の鍵を握る激戦7州のうちラストベルト(さびついた工業地帯)に位置する3州での勝利を目指し、白人労働者層への浸透を狙う戦略が明確だ。副大統領研究の権威であるセントルイス大のジョエル・ゴールドスタイン名誉教授は「ウォルズ氏は民主党から離れつつある労働者階級にアピールできる人生を送ってきた。民主党支持者以外の有権者にも接触することができる。良い人選だ」と話す。
一方、トランプ氏は全く違う。起用したのは、若いものの同じ白人男性で、議員歴も2年に満たないJ.D.バンス上院議員(40)だ。米国の繁栄から取り残されたラストベルトに住む白人…
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週刊エコノミスト
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