中国政府のデータ資源化6年目 データ商品の資産計上が始まった 神宮健
中国でビッグデータの利用が広がっている。すでにITと金融を組み合わせた「フィンテック」の実績もあり、金融のデジタル化がさらに進みそうだ。
中国政府は、2019年からデータを生産要素に位置づけ始め、20年に発表した市場メカニズムによる生産要素の配分に関する「意見」では、データを土地、労働力、資本、技術とならぶ第5の生産要素とし、データ要素市場の育成を加速するとした。
そして22年発表のデータの基礎制度構築に関する「意見(通称データ20条)」は、データの財産権制度(データにおける資源所有権、加工使用権、商品経営権)や、データ取引所構築や取引の関連サービス専門機関育成、データ収集・加工・利用の各段階間の利益分配のメカニズム、監督管理等に関する今後の施策の方向を示した。
24年1月には、中国国家データ局など17機関の「『データ要素×』3カ年行動計画(2024~2026年)」が発表され、データ要素と12分野の掛け合わせが示された。金融関連、つまり「データ要素×金融」では、第一に、金融機関による科学技術、環境保護、工商、税務、気象、消費、医療、社会保障、農業農村、水・電気などのデータ統合・利用を支援し、貸し出し業務管理や保険商品の設計における金融サービスの水準引き上げ、第二に、金融信用データ、公的信用データ、商業信用データの共有・流通を通じて、リスク防止の能力引き上げを掲げる。
データ資産を計上
例えば、人民銀行など8機関による民営経済発展支援に関する通知(23年11月)は、産業チェーンにおける金融サービスの積極的展開を示す。これまでの産業チェーン金融は、チェーン上の核となる企業の信用に依…
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週刊エコノミスト
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