石破新政権の「防災省」構想 災害多発国にふさわしい体制を/199
有料記事
10月1日の臨時国会で石破茂・自民党総裁が第102代首相に選ばれた。かねて「防災省」創設の構想を持ち、2026年度中に人員や予算を強化した「防災庁」を創設する方針に加え、専任の閣僚を置いた上で「防災省」への昇格を検討する考えも示している。
日本の災害対策は多くの省庁にまたがっているのが現状で、防災の所管は内閣府の防災担当だが、国土交通省やその外局の気象庁、総務省の外局の消防庁などがそれぞれの役割を担う。これに加えて、実動部隊を出す防衛省や警察庁などが絡む。また、被災後の復興については東日本大震災で21年3月までの10年間の時限組織として「復興庁」ができたが(その後、期限を10年延長)、現実には各省庁の縦割りで行われている。
現在の内閣府防災担当の人員は100人程度で予算約74億円。職員がどんなに懸命に働いても災害発生後の事態対処はパンク寸前で、事前防災の取り組みもたび重なる災害発生で頻繁に中断する。また、人員も国交省や厚生労働省など各省庁からの出向者が多く、2年後には元の役所に戻るため知識や経験の蓄積・継承が非常に難しい。
関係予算は低下傾向
このように現体制では頻発する大規模災害への対応が不十分で、国として防災から復興までを見据えた災害対策のグランドデザインが欠かせないが、防災担当相も兼務でしかない(本連載の第116回を参照)。石破首相が目指す防災省は国民保護を主眼とする防災専門官庁で、基本的に自治体の任務となる災害対応を全面的に支援する。全国知事会は20年に防災省の創設を提言し、全市町村長の約6割も必要性を認めてきた。
ここで、一般会計予算に占める防災関係予算(災害予防、災害復旧等、国土保全など)の割合をみてみる。伊勢湾台風(1959年)をきっかけに災害対策基本法が61年に制定され、防災関係予算は62年度には8.1%を占めていた。しかし、70年代以降は低下傾向をたどり、…
残り671文字(全文1471文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める