新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

裏切りや信頼していた企業の不正で、すべてが信じられません/226

清沢満之(きよざわまんし)(1863~1903年)。日本の哲学者。真宗大谷派の僧侶としても知られる。著書に『宗教哲学骸骨』などがある。(イラスト:いご昭二)
清沢満之(きよざわまんし)(1863~1903年)。日本の哲学者。真宗大谷派の僧侶としても知られる。著書に『宗教哲学骸骨』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 裏切りや信頼していた企業の不正で、すべてが信じられません 最近、身近な人に裏切られたり、信頼していた企業が不正を行っていたことも明らかになり、何もかもが信じられなくなっています。どうすればいいでしょうか。(土地開発事業者・40代男性)

A 信じるという行為は裏切りさえも承知で心を預けきることなのです

 人間社会は信頼で成り立っているといっても過言ではありません。人を信じるから付き合えるし、企業を信じているから安心して商品を買い、サービスを受けられるのです。ところが、その信頼がすべて失われたらどうなるか? もう安心して日常を送ることなどできなくなるでしょう。

 信じるということは、それだけ私たちが生きるうえで大切なことなのです。そこで今回は日本の哲学者清沢満之の思想を参考にして、信じることの意味について考えてみたいと思います。

 清沢は真宗大谷派の僧侶でもあることから、仏教の文脈で信じるということについて思索を深めていました。しかし彼の場合、単に仏の教えを信じるという狭い意味にとどまらず、もっと普遍的な意味での考察に行き着いていたように思われます。

 そのことは、清沢の墓碑に刻まれた「信ずるは力なり」という言葉からも、また彼の著書『我信念』において、信念こそが最大幸福であると謳(うた)われていることからも明らかだといえます。

 実は清沢は精神主義という思想を掲げていたのですが、この精神とは自己を支える根源を意味するものであり、その具体的なあり方こそが信じるという営みにほかならなかったのです。信じるから自己というものが安定し、正しい行いができるとさえいっています。いわばそれは倫理のような役…

残り611文字(全文1311文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月12日・19日合併号

日立 ソニー パナソニック 復権の道のり18 パナソニックは「買い」か「売り」か 日立、ソニーに続く復活の試金石■浜田健太郎21 インタビュー 入山 章栄 早稲田大学ビジネススクール教授「経営者に必要なビジョンの提唱力 要諦はポートフォリオ運営にあり」 22 インタビュー 冨山和彦 パナソニックホー [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事