米国の乳幼児死亡率が3年連続で悪化した 市岡繁男
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仏人口学者エマニュエル・トッドは1970年代、ソ連の乳幼児死亡率が悪化している状況をみて、ソ連の体制崩壊を予言した。通常は下がり続ける乳幼児死亡率が上昇することは、経済の実情を示すうえで決定的な指標だというのだ。
直近の乳幼児死亡率データをみると、次の3点が注目される。1点目は米国の数値が戦後初めて3年連続で悪化し、米国と中国の順位も逆転したことだ(図1)。これは50年前のソ連を想起させる状況であり、何か大きな問題が表面化する前兆のようだ。
2点目は、99年のユーロ発足以降、南欧諸国の数値が改善する一方で、ドイツの順位が後退したことだ。かつてドイツの乳幼児死亡率は日本より優位にあったが、今はギリシャをも下回る。その一因は13年に設立の欧州安定メカニズム(ESM)にあるらしい。この機構はドイツなどから南欧諸国に巨額の資金を貸与するもので、ドイツの納税者は事実上、南欧諸国の財政も一部負担している。
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週刊エコノミスト
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