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米国で多様化する男性像 マッチョから弱者男性まで 小林千代

女性趣味、マッチョ、弱者と男性像が多様化する米国。写真はマッチョ男性の代表格、イーロン・マスク氏 Bloomberg
女性趣味、マッチョ、弱者と男性像が多様化する米国。写真はマッチョ男性の代表格、イーロン・マスク氏 Bloomberg

 最近、筆者が通っているヨガのクラスで異変を感じている。男性の生徒が着実に増え、男性が半分を占めるクラスもある。そういえば、いつのまにか今まで女性の世界とされていたスペースに男性が入り込んいる。育児ママの会「プレイデート」やお料理教室、ブッククラブ(読書会)などにも男性が積極的に参加している。「最近、刺しゅうが上手なイケメン男性が手芸クラブに入ってきたのよ」と近所の女性も喜んでいた。男性の間で真珠の首飾りも人気が急上昇しているという。英国の人気歌手ハリー・スタイルズが長い真珠を何重にも首にかけてパフォーマンスをする姿は有名だ。また、プロ野球ダイヤモンドバックスのジョク・ピーダーソン選手が首飾りを上下させながらグラウンドを疾走しているシーンが男性ファッション雑誌にも掲載され、「ここまで来たか」という感がある。

 一方で、筋肉もりもりのアルファ男子(自信、自己主張の強い男性)の存在も根強い。代表格は、テスラ、スペースXの創業者、イーロン・マスク氏である。富、成功、権力、地位、女性などすべて手に入れた彼こそマッチョの王者である。伝統的な強い男性像をアピールする価値観には人種差別や女性蔑視の風潮もあり、「toxic masculinity(有害な男らしさ)」と非難する意見もある。

 マッチョ文化とは真逆の「弱者男性」の存在も顕著である。家長制度の伝統が強い東アジア諸国においても「ジェンダー平等は既に到達しており、男性は逆差別の犠牲になっている」と怒りをぶちまける若い男性が増えているとエコノミストは分析する。韓国では、フェミニストを忌み嫌う男性と、エンパワーメント(力を引き出すこと)で盛り上…

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