米大統領選で目立ったポッドキャスト 若者にリーチできるメディア 井上祐介
大統領選では共和党候補のドナルド・トランプ前大統領と民主党候補のカマラ・ハリス副大統領という対照的な両候補が印象的だったが、同時に目立ったのがメディアとしてのポッドキャストの存在である。
トランプ氏が2016年に立候補した時を思い返すと、ケーブルテレビとソーシャルメディアを駆使して自身の露出度を高めたことが大統領にまで上り詰めた一因となった。しかし、今回は大学生の息子の助言もあり、非伝統的メディア、中でもポッドキャストをこれまで以上に重視する戦略を取った。ローガン・ポール氏との対談を皮切りにとくに若い男性をターゲットにした人気番組に次々と登場し、選挙終盤では全米で最大の視聴者数を誇るジョー・ローガン氏のポッドキャストで3時間にわたって語り合った。
ハリス氏は若い女性に絶大な人気を誇るインフルエンサーのアレックス・クーパーさんが司会を務める“Call Her Daddy”に出演したことが話題になった。同ポッドキャストのリスナーの4分の3が35歳以下の女性であり、生殖の権利を含む女性の権利について自身の考えを語った。ハリス氏は黒人の若者に人気の番組にも積極的に出演した。
こうした戦略の背景には選挙における無党派層、特に若者を取り込む難しさがある。情報の入手経路も多様化している中、従来型のメディアでは十分にリーチすることは難しい。その中でポッドキャストのリスナー数は16年から倍増するなど確実に伸び続けている。
米国では若者を中心に1.3億人が日常的に利用しており、番組によっては1000万人を超えるアクセスがある。ポッドキャストであればリスナーの属性に合わせた話題を強調することが可能…
残り654文字(全文1354文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める