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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

大谷翔平選手の活躍を見るにつけ、自分の凡人さがつらくなります/228

ジーン・アイリス・マードック(1919~1999年)。アイルランド出身の哲学者。セクシャルを主題とした作家としてもよく知られる。著書に『善の至高性』などがある。(イラスト:いご昭二)
ジーン・アイリス・マードック(1919~1999年)。アイルランド出身の哲学者。セクシャルを主題とした作家としてもよく知られる。著書に『善の至高性』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 大谷翔平選手の活躍を見るにつけ、自分の凡人さがつらくなります 大谷翔平選手の活躍にはいつも勇気づけられるのですが、同時に自分が凡人である事実を突きつけられているような気がしてつらくなることもあります。この矛盾した気持ちをどう解消すればいいでしょうか。(大学生・20代男性)

A 凡人の特権を生かし、穏やかに暮らす中で唯一無二の自分を見つけよう

 この世の中には、大谷翔平選手のような非凡な才能を持った人や、努力や運によって大成功している人がいるものです。理由はともあれ、そうした凡人ではない人が一部にいるのはたしかです。

 私も悩んでいたのですが、特に若いころはそうでない自分と非凡な人を比べ、自己嫌悪に陥りがちです。そこで参考にしたいのは、アイルランド出身の哲学者アイリス・マードックの考え方です。彼女にいわせると、世界は平凡な人々から成っています。

 そして平凡な人たちがやっていることは、たとえ誰に知られていないとしても、それがなくなると何かが欠けてしまうといいます。大谷選手が出場しなければ、チームは戦力を欠くでしょう。でも、たった一人の職場のアルバイトの人が欠けても、皆困ったことになるに違いありません。

 また、大谷選手はその活躍によってチームメートから尊敬されていると思いますが、先ほどのアルバイトの人だって、一生懸命働いていれば、周囲から尊敬されているに違いありません。

 中には、アルバイトより社長の方が地位も上だし、給料もいいから憧れるという人がいるでしょう。しかしマードックによると、大きな特権があるほど責任は大きくなり、その分周囲に心配をかけたり、不幸さえもたらしかねません。

 だから…

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