クロックス サンダルなど履物の世界大手 宮川淳子
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Crocs,Inc コロナ禍の巣ごもり需要で売上高急伸/132
米コロラド州ブルームフィールドに本社を置くクロックスは、独自に開発した特殊性樹脂「クロスライト」を使ったサンダルで有名な靴メーカーだ。創業は2002年で、創業から4年目の06年にはナスダック証券取引所に新規株式公開(IPO)し、上場企業として20年近い実績がある。同社のサンダルは、陸でも水中でも履けることから、水陸両方で生息するワニ(英語クロコダイル)にちなんで「クロスライト」と名づけられている。ソフトで軽く、履き心地が快適であるため、いわゆる“巣ごもり需要”が高まったコロナ禍で売り上げが大きく伸び、累計販売数は1億足を上回っている。
サンダル本体と「ジビッツチャーム」と呼ばれる通気穴に付けるアクセサリーに使用されているクロスライト樹脂は、大手化学メーカーから調達している弾力性のあるエラストマー樹脂と、着色染料などの原料を混合させることで、足跡がつきにくく、ソフトで軽く、水洗いができる。
競争は厳しい
市場調査会社のリサーチ・ネスターによると、世界の履物市場は23年に4020億ドル(約62兆円)を超え、今後10年以上にわたり年率約5%の高成長が続くと予想されている。先進国、新興国を問わず、快適さとファッション性を兼ね備えたカジュアルな運動靴やサンダルの需要の伸びは特に大きく、コロナ禍後もそのトレンドは定着している。返品可能なオンライン販売での買いやすさや、肥満、高齢化などの健康問題で履き心地を重視する傾向も、需要拡大の背景にある。ただし、カジュアルなサンダル市場はニッチ市場とはいえ、米デッカーズや独ビルケンシュトックなど、参入企業数は多く、流行は変わりやすいことから、競争は厳しい。
クロックスの23年12月期の売上高は、過去最高の39億ドル(約6045億円)となり、前年比12%増加した。ここ数年の売上高の伸び率は高い。21年にコロナ禍の巣ごもり需要で前年比67%増と急伸し、22年は同年2月に買収した「ヘイデュード(Heydude)」の統合効果も加わり、同54%増となった。こうした高い伸び率に比べると、23年はやや落ち着いてみえるが、販売価格と数量の両方が上昇し、成長は続いている。
24年4~6月期のブランド別売上高シェアをみると、クロックスが79%、ヘイデュードが21%だった。粗利益率が高いクロックスが、全社の売上高の約8割を占め、安定した状況を維持している。クロックスの地域別売上高は、北米57%、海外43%で北米が過半を占めているが、ここ数年は海外市場の伸びもみられる。海外の重要市場は中国、インド、…
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週刊エコノミスト
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