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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

常識を疑え、他方で常識人であれとも。どっちが正しい?/229

ティモシー・ウィリアムソン(1955年~)。イギリスの哲学者。認識論や言語哲学を専門とする。著書に『The Philosophy of Philosophy』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)
ティモシー・ウィリアムソン(1955年~)。イギリスの哲学者。認識論や言語哲学を専門とする。著書に『The Philosophy of Philosophy』(未邦訳)などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 常識を疑え、他方で常識人であれとも。どっちが正しい? 最近よく常識を疑えといわれます。でも、他方で常識人であれともいわれます。いったいどっちが正しいのでしょうか?(自営業・30代男性)

A 常識は常に照合点。絶対視せず更新する出発点と考えてみては

 私もよく常識を疑うべきだと説いています。基本的に哲学とは、自分の思い込みや当たり前といわれていることを疑うのが最初の一歩だからです。そうでないと、物事の本質や正しいことは見えてきません。

 ただ、だからといって常識の存在を完全に無視していいわけでもありません。では、いったいどうすればいいのか? 参考にするのは、イギリスの哲学者ティモシー・ウィリアムソンの常識に関する考え方です。

 ウィリアムソンは哲学者ですが、むしろ常識の存在を重視しているといっていいでしょう。常識を疑う営みである哲学でさえ、常識から出発するよりほかないといいます。たとえ新しいことを始める場合であったとしても、まずは常識を前提にして考えるしかないのです。

常識にも難癖つければいい

 もっとも常識は出発点ではあっても、目的地ではないといいます。そうではなくて、常識は常に照合点だというのです。哲学理論の是非を判定する際、つまり哲学的に考えた結論が妥当なのかどうか判断する際、どうしても常識に照らして考える必要があるということです。

 もしここで常識など人によって異なるとか、時代によって変わるから当てにならないなどといいだすと、何も決定できなくなるからです。大事なのは、その常識をきちんと裏付けるエビデンスがあるかどうかです。

 この点ウィリアムソンは、結局エビデンスも人間の能力によって…

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