週刊エコノミスト Online 編集後記

和田肇/浜田健太郎

編集部から

 昔、町内の小学生ソフトボールチームの監督をしたことがある。ある年の2月、横浜スタジアムで新人戦(小学5年生以下)が開催された。こちらのチームはぎりぎり9人。だが、試合は初回からいきなりチャンス到来。ベンチも大人たちも応援のボルテージは最高潮だ。

 ある5年生の女子に打順が回った。するとその子はスイング一閃(いっせん)。打球はなんと横浜スタジアムのライト側外野フェンスをツーバウンドで直撃した。皆びっくり仰天。私も相手チームの監督もぼうぜんと見ているだけだった。

 私たちは、大人になればなるほど、既成概念にとらわれがちだ。大谷翔平選手の“二刀流”もプロ野球の世界では「絶対無理」とされてきた。2025年。日本企業も小学生に負けないような、既成概念を打ち破る事業展開を期待したい。

(和田肇)

 阪神・淡路大震災からまもなく丸30年。通信社記者として当時大阪で勤務していた私は応援取材に駆り出された。戦争に被災したような現地の様子は衝撃的だった。その年の春から神戸に異動。転居せずに通勤し、主に経済復興を取材した。

 1年あまり神戸の街を歩き回った印象では、多くの人たちは天災を不可抗力だと受け止めていた。復興に向けて市民は連帯感を共有していたと思う。

 いま神戸の街を歩けば震災の爪痕は感じられない。しかし、兵庫県の現地は斎藤元彦知事を巡って県民が分断している。斎藤知事の支持者たちは、「マスコミのでたらめな報道によって知事が貶(おとし)められた」などとSNSで発信する。

 新聞記者も時には誤報するが、事実に基づかないことを故意に報じることはない。若い記者たちには、悪意に満ちた中傷にひるんではいけないとエールを送りたい。

(浜田健太郎)

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