北條一浩/桐山友一
編集部から
書評ページの担当としてなによりうれしく、心躍るのは、出版社の皆さんからの献本を開封する瞬間である。
経済をはじめ社会科学の本が多いのは当然として、思いがけない本が届くこともあり、また書店に並ぶより早いことも多く、誤解を恐れず言えばある種の「特権」の享受と考えられる。
そんな中で特筆したいのが新書の充実ぶりである。ここ数年、従来なら専門書の領域ではないかと推測される高度なテーマを新書で出す例が少なくない。しかも、難解さをそのまま提示するのではなく、多くの一般読者を想定した新書らしく、わかりやすく工夫されているのだ。別の視点から述べれば、書き手と編集者に専門性と大衆性の双方の咀嚼(そしゃく)力が求められる時代になったと理解すべきだろうか。
弊誌でも刺激に満ちた新書を多数紹介している。2025年の書評欄もぜひご期待ください。
(北條一浩)
縁あって韓国語を少々学び、韓国のニュースも日々見ているが、12月3日夜に尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布したのには心底驚いた。目を疑いながら現地報道を追いかけていると、一切の政治活動の禁止やメディアの統制などを含む「戒厳司令部布告令」まで出され、血の気がさっと引いていった。
4日未明に韓国国会が戒厳令の解除要求を可決し、軍が議会から撤収するのを見て床に就いた。有事でもないのに、なぜ戒厳令なのか。韓国では市民も議会も「大統領が狂った」と受け止めていた。尹氏は野党勢力の「反国家行為」を主張するが、さまざまな疑惑のある尹氏の妻への追及阻止の意図もあったのではないか。
平穏な日常がある日、突然破られたが、幸い犠牲者は出なかった。それをせめてもの救いに、国としての秩序を取り戻していくしかない。
(桐山友一)
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