週刊エコノミスト Online 編集後記

荒木涼子/稲留正英

 東京・日暮里で11月17日、6月に亡くなった原子力資料情報室の共同代表、伴英幸さんをしのぶ会があった。伴さんは経済産業省の委員会などへ長年有識者として参加。冷静に原子力政策の矛盾点を突き、市民向け勉強会では、分かりやすく技術や政策を伝えてきた人だ。

 しのぶ会には青森や山口など、全国から100人以上の人が集まった。原発は列島の津々浦々にある。伴さんは足しげく地元に通い、つながりを大切にしていたといい、交流の思い出を皆で紹介しあった。

 思えば、私が伴さんに取材を依頼すると、しばしば「明日の午後5~6時なら、移動時間で空いてるよ」と融通を利かせて引き受けてくれた。時に反対の意見を投げかけても冷静に返し、導いてくれた。社会の分断は深まっているが、もう伴さんはいない。相手の意見をまずは聞き、つながりを大切にする社会を残したい。

(荒木涼子)

 今年もはや年末。経済・政治両面で話題の多い一年だった。1月に新NISA(少額投資非課税制度)がスタート、日経平均株価は7月に4万2426円の史上最高値を付けたが、8月は3万1000円台まで急落した。政治では石破茂首相の誕生、総選挙での政権与党の過半数割れ、11月の米大統領選ではトランプ氏が返り咲いた。

 来年はウクライナ戦争の行方が最大の関心事の一つになるだろう。1月のトランプ次期政権誕生に向け、ロシアとウクライナ、そして、関係諸国の駆け引きは激しさを増しそうだ。北朝鮮のウクライナ派兵で、欧州の戦争が東アジアの安全保障に直接リンクする事態となった。韓国での戒厳令布告もこの流れと全く無関係ではないだろう。

 来年のえとである巳(み)(蛇)は脱皮することから「再生と復活」の象徴だそうだ。果たしてウクライナに再生の機会が訪れるのか。

(稲留正英)

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