リーマン・ショック10年 再び不穏な空気 バブルは別の顔でやってくる 日米欧で進む良識派の弱体化=熊野英生
有料記事
リーマン・ショックから10年というが、その手前にサブプライムローン(低所得者向け住宅融資)問題があった。2006年前半からサブプライムローンの不良債権化が進み、07年8月にパリバ・ショック、08年3月にベア・スターンズ破綻へと発展した。人々の記憶にはクライマックスのリーマン・ブラザーズの崩壊が脳裏に焼き付いていて、バブルの生成過程は意外に忘れられている。記憶されるべきは、バブルの生成までのあの不穏な空気の方だろう。
- <私のリーマン・ショック 古賀信行 英米では「金融のための金融」…>
- <存在感高める中国 「米中二極体制」に日本はどう立ち回るか=三尾幸吉郎>
- <キーワードで振り返る 100年に1度の危機の深層 「低体温経済」の常態化=小玉祐一>
そして、今も筆者には再び不穏な空気を感じる。18年初は仮想通貨ビットコイン・バブルが弾けた。その寸前でも、仮想通貨はバブルでないと公言する人が何人もいた。あのとき、「今回は以前の値上がりと比べてここが違う」と見事な見解を開陳していた。しかし、バブルとは、常に別の顔をしてやってくるものだからわかりにくい。人間は、一旦バブルに便乗しようとしたならば、外側で見ていたときの冷静さを必ず失う。これは、人間…
残り1678文字(全文2088文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める