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週刊エコノミスト Online 闘論席

片山杜秀の闘論席 張作霖爆殺事件から90年

日銀の黒田東彦総裁(撮影)長谷川直亮
日銀の黒田東彦総裁(撮影)長谷川直亮

 日本陸軍が満州の軍閥の指導者、張作霖を瀋陽近郊で爆殺したのは、1928年6月4日のこと。それから今年で90年。その3年後には、やはり陸軍が満州事変を起こし、そのまた6年後には北京の盧溝橋で陸軍が中国国民党軍と衝突。ついに日中戦争に突入した。

 このプロセスはなぜ起きたのか。陸軍が戦争をしたくて民意を無視し暴走したのか。もちろんそんな単純な話ではあるまい。日本の政界や財界のみならず国民的願望を陸軍が大胆に表現したと考えるべきだ。その願望とは景気浮揚である。

 日本は第一次世界大戦の特需で1910年代後半、急激に経済成長した。欧州での大戦争がまだ続くと思い、企業は大胆な設備投資を続けた。ところが終戦。生産力は過剰になり、新たなはけ口がなければ、不況は深刻化するばかり。そこに中国大陸を日本の独占的市場としたい野心が国家的・国民的に膨らんだ。まず軍隊が占領し、親日政権を作り、日本の品物を売り、日本からの投資を呼び込む。

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