受動喫煙対策強化 安全配慮義務問われる企業 不十分な対策は労務リスクに=片山律
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受動喫煙対策を罰則付きで強化する改正健康増進法が7月18日、成立した。これに先立つ6月27日、東京都の受動喫煙防止条例も成立し、焦点だった飲食店については、東京都の方が国よりも厳しい規制を設けた。海外に比べて受動喫煙への規制が遅れてきた日本では、裁判が対策の推進に一定の役割を果たしてきた側面もある。これまでの受動喫煙をめぐる訴訟などを見ながら、企業の法的リスクという観点から法改正で何が変わるのかを考えたい。
今回の法改正の前提となっているのは、我が国も批准し、2005年に発効した世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」(FCTC)である。FCTCは、喫煙や受動喫煙が、死亡や病気を引き起こすと科学的に明白に証明されていることなどを認識した上で、各締約国に「受動喫煙からの保護」の効果的な措置を取ることを義務付けている。これが、国際的な喫煙及び受動喫煙に対するスタンダードな認識となっている。
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週刊エコノミスト
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