法務・税務エコノミストリポート

受動喫煙対策強化 安全配慮義務問われる企業 不十分な対策は労務リスクに=片山律

全面禁煙の居酒屋。こうした取り組みは増えていくのか
全面禁煙の居酒屋。こうした取り組みは増えていくのか

 受動喫煙対策を罰則付きで強化する改正健康増進法が7月18日、成立した。これに先立つ6月27日、東京都の受動喫煙防止条例も成立し、焦点だった飲食店については、東京都の方が国よりも厳しい規制を設けた。海外に比べて受動喫煙への規制が遅れてきた日本では、裁判が対策の推進に一定の役割を果たしてきた側面もある。これまでの受動喫煙をめぐる訴訟などを見ながら、企業の法的リスクという観点から法改正で何が変わるのかを考えたい。

 今回の法改正の前提となっているのは、我が国も批准し、2005年に発効した世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」(FCTC)である。FCTCは、喫煙や受動喫煙が、死亡や病気を引き起こすと科学的に明白に証明されていることなどを認識した上で、各締約国に「受動喫煙からの保護」の効果的な措置を取ることを義務付けている。これが、国際的な喫煙及び受動喫煙に対するスタンダードな認識となっている。

残り3765文字(全文4168文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事