WASHINGTON D.C. イラン制裁の強化開始 漁夫の利得るサウジ・中国=会川晴之
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トランプ政権は5月、米英仏独中露とイランが2015年7月に結んだ核合意を「米国にとって不利な合意だ」として一方的な離脱を宣言した。8月から段階的に制裁を強化し、イランとの貴金属取引や主要輸出品のカーペットやピスタチオ、キャビアなどの購入を禁じた。さらに11月4日からは、イラン産原油禁輸や金融取引停止に対象を拡大する。この措置を、米国企業だけでなく国際社会すべてに迫っている。すでに国務省、財務省高官を欧州や、日本などに派遣、「制裁に例外規定はない」と、米国企業以外であっても制裁措置に違反した場合には2次制裁を科すと圧力をかけている。
一方、欧州連合(EU)、日本には、イランの核兵器開発を止めるためには「核合意が最も有効な手段」との思いが強い。約2年に及ぶ難交渉を経て結ばれただけに、米国内でも核合意維持を支持する声もある。カントリーマン前米国務次官代行(核不拡散・軍備管理担当)は取材に「米国が離脱する道を選べば合意は崩れ、状況はさらに悪化してしまう」と懸念する。「核合意の内容を上回る協定を結ぶ交渉は現実的には難しい」との声もあ…
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週刊エコノミスト
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