イラク 生活基盤は壊滅状態 国家統一も遠く=佐藤佳奈
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7月8日に南部の都市バスラから端を発した反政府デモは、シーア派宗教都市ナジャフや首都のバグダッドへ広がり、死者は14人以上に上っている。度重なる「イスラム国」(IS)との戦いで、生活インフラは壊滅状態だ。恒常的な電力不足や水不足が発生する中、50度にも迫る酷暑が重なり、市民の不満が限界を越えた。アバディ首相は、すぐにバスラ地域のインフラ開発に、30億ドル(約3300億円)を支出すると発表した。
しかし、これまで復興支援のために割り当てられてきた多額の資金が政治家や有力者たちの懐に消えたと言われている。5月の選挙では、市民の不満が重なり、第1政党のアバディ首相率いる政党は第3勢力に転落。一方、米国やイランなどの他国の影響を受けない自立国家の樹立を目指し、クリーンなイメージの強いシーア派宗教指導者のサドル師率いる政党が第1党となった。ところが、過半数は獲得できなかった。一部投票所で再集計が…
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週刊エコノミスト
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