教養・歴史アートな時間

映画 クレイジー・リッチ! 最低最悪の登場人物が続々 足を止めて観察したい奇観=芝山幹郎

     好感を持てる人物が、ひとりとして出てこない。それどころか、どいつもこいつも、とため息をつきたくなるような俗物が、つぎからつぎへと出てくる。奇観だ。

     見ていると、呆気にとられる。凄まじいな、と感じつつ、怖いもの見たさの気分も湧き上がってくる。

    「クレイジー・リッチ!」は、そんな映画だ。劇場を出ると、下世話なはずの日常生活が謙虚でつつましく感じられる。シンガポールの金持は、全員が強欲で悪趣味で、だれひとり文化など必要としていないのか。いや、これはアジア系に対する差別だ、と息巻きたくなる人もいるだろう。ただ、登場人物を嫌うあまり映画まで嫌うというのは、坊主を憎んで袈裟まで憎むようなものではないか。

     映画の導入部は、1995年のロンドンだ。老舗高級ホテルを訪れたずぶ濡れの中国人一家が宿泊を拒まれる。だが、部屋の予約をしたエレノア・ヤンは、このホテルを買収したばかりの新オーナー夫人だった。

    残り788文字(全文1183文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    4月7日号

    コロナで急変 世界経済入門22 400兆円の「株」待機資金 “倍返し”でバブル再燃も ■村田 晋一郎/吉脇 丈志25 何が起きるか 1 原油大暴落の先 原油安は続かない 年末70ドル反発も ■柴田 明夫26  2 株式市場大混乱 “コロナ”なしでも調整した 業績予想と期待のブレ ■居林 通28  3 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ PR

    最新の注目記事

    ザ・マーケット