舞台 芸術祭十月大歌舞伎 十八世中村勘三郎七回忌追善=小玉祥子
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死罪覚悟で直訴を決意した名主 渡し守との心の通い合いが見せ場
東京・歌舞伎座の「芸術祭十月大歌舞伎」は十八世中村勘三郎七回忌追善(故人の冥福を祈って催される公演)。昼の部では、十八世はもちろん、その父の十七世勘三郎も得意とした「佐倉義民伝」が、松本白鸚(はくおう)の主演により上演される。
原作は三世瀬川如皐(せがわじょこう)作「東山桜荘子」。嘉永4(1851)年、江戸・中村座で初演された。今回は「印旛沼渡し小屋」「木内宗吾内」「同裏手」「東叡山直訴」の四場が上演される。
下総国(しもうさのくに)佐倉の名主、木内宗吾は、不作と過酷な重税に苦しむ農民を救おうと領主堀田上野介の江戸屋敷を訪れるが、願いは聞き入れられない。宗吾は死罪覚悟で将軍徳川家綱への直訴を決意。家族に別れを告げるために帰郷するが、役人からの触れが出ているため、乗船しようとした印旛沼の渡し舟には鎖が掛けられていた。だが、宗吾の覚悟を知った渡し守(渡し船の船頭)の甚兵衛は、鎖を断ち切る。宗吾は、妻おさん…
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週刊エコノミスト
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